就業規則の届出は、常時使用する労働者が10人以上の事業場、衛生管理者や産業医の選任・届出は常時使用する労働者が50人以上の事業場が対象になる。自社が対象となるのか否かの判断においては、この労働者の定義を押さえておくことが重要になってくる。そこで社労士に確認することとした。

当社では今後、従業員を増やしていく方針があります。従業員数が増えると、衛生管理者や産業医の選任・届出、障害者雇用の納付金など、様々な対応が求められると思います。そこで今日はこの対応の注意点をお伺いできますか。

なるほど。従業員数については、それぞれで「労働者」の定義があり、またカウントの範囲が事業場なのか、事業主(企業単位)なのか取り扱いが異なることから、これらを押さえておく必要がありますね。今日は、労働基準法、労働安全衛生法、障害者雇用、次世代育成支援対策推進法をピックアップして説明します。
まず、労働基準法では、第9条で「労働者」の定義をしており、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいう、としています。ここには日雇労働者やパートタイマー等も含まれます。

賃金が支払われている人が「労働者」ということですね。

就業規則の届出については、「常時使用する労働者の数が10人以上の事業場」となっており、この「常時使用する」については、企業の通常の状況により判断するとされています。考え方としては、臨時的に雇い入れた場合や臨時的に欠員が生じた場合は労働者の数に変動が生じたものとして取り扱う必要はないものの、パートタイマー・アルバイトであっても臨時的な雇入れでなければ、常時使用する労働者に含める必要があるとされています。

例えば、繁忙期で1ヶ月だけアルバイトとして雇用した人はカウントの対象にならないが、6ヶ月更新で長く雇用している人は臨時的な雇入れでないため、常時使用する労働者に含めるということですね。

その通りです。労働安全衛生法についても対象となる労働者は労働基準法と同じです。注意点として、労働安全衛生法では職場で働くすべての労働者の安全・衛生を守る法律になるため、派遣労働者を受け入れている事業場は、派遣労働者も含めて常時雇用する労働者をカウントします。

工場には、派遣労働者の方がいますので、カウントに含める必要があるということですね。
はい、そうです。例えば事業場の従業員数が45人で、派遣労働者が5人いる場合、合計50人となります。事業場の直接雇用している従業員は50人未満であると勘違いしているケースも見受けられます。

確かに、労働基準法と同じという判断だと誤ってしまいますね。

次に、障害者雇用については、今年の7月より法定雇用率が2.7%に引上げとなります。これに伴い、常時雇用する労働者が37.5人以上の事業主(企業)は、障害者を1人以上雇用することが義務付けられます。

37.5人と、端数があるのですね。
そうです。この常時雇用する労働者は、週の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)が対象となります。

先ほどの労働基準法や労働安全衛生法の「労働者」には週所定労働時間の話は無かったですが、ここでは20時間以上という定義があるのですね。

はい。人数を算出するにあたっては計算方法が決まっており、原則として、週所定労働時間が30時間以上の労働者については1人を「1人」として、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者については1人を「0.5人」としてカウントします。

実際に計算して確認する必要がありますね。

最後に、次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法を確認しましょう。これらは一般事業主行動計画の策定・届出を、女性活躍推進法では男女間賃金差異・女性管理職比率などの情報公表を義務付けています。
対象は、常時雇用する労働者が101人以上の事業主(企業)で、常時雇用する労働者は、期間の定めなく雇用される人、過去1年間に引き続き雇用されている人、または、雇入れ時から1年以上雇用されると見込まれる人が対象です。

これは、事業主(企業)が単位になるのですね。

労働者の定義や対象となる単位を理解しておくことが重要になってきます。また分からないことが出てきたら、聞いてください。

社会保険について、現在、従業員数が51人以上の事業主(企業)では、以下の3つの要件をすべて満たしたパートタイマー等が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになっています。
- 週所定労働時間が20時間以上であること
- 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
- 学生でないこと
この従業員数は、厚生年金保険の被保険者数に基づきカウントすることになっています。今後、この従業員数「51人以上」が、下表のスケジュールで変更となり、対象となる企業が拡大していきます。従業員数が50人以下の企業では、自社がどのタイミングで対象となるのか確認しておくとよいでしょう。
| 従業員数 | 施行時期 |
| 36人以上 | 2027年10月 |
| 21人以上 | 2029年10月 |
| 11人以上 | 2032年10月 |
| 10人以下 | 2035年10月 |
■参考リンク
厚生労働省「事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「7.資料編 (1)障害者雇用率制度」
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット」
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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